第28回日本神経科学大会
大会長
 宮下 保司
 日本神経科学学会は、21世紀ライフサイエンス中の重点分野のひとつである神経科学の代表的学会であり、高次脳機能からその分子細胞メカニズム、疾患モデル、臨床研究まで、広範な先端研究を推進する脳研究の専門集団であります。総合科学技術会議の重点領域として「心と脳の研究」が取り上げられ、各省庁の重点プロジェクトとしても文科省「統合脳」を例とするような共同研究体制・研究費補助金の整備も進んできました。現在約4500人の会員を擁する本学会は、個々の研究者の自由な発想に依拠する個別ボトムアップ研究を擁護し推進する環境を整備すると共に、多面的な社会的要請に対して責任ある提言を行い成果普及・啓発などを通じて我が国および国際社会に対する説明責任を果たすことをめざしております。
 第28回目となる本年の日本神経科学大会は、2005年(平成17年)7月26日(火)から28日(木)までの3日間、パシフィコ横浜で開催します。本大会では、特別講演5題、受賞講演3題、シンポジウム演題235題、一般口演110題、ポスター演題894題、ランチオンセミナー演題21題、合計1268題の演題をお寄せ戴きました。単独大会としてはこれまでで最大の規模となります。基礎から臨床まで、分子・遺伝子レベルでの脳の構造解析、種々の脳機能が生み出されるメカニズムの解明、その病態の解析と予防・治療法の開発など、多方面の新しい研究成果が発表され、多数の参加者間の活発な討論を通して次の研究への新しい発想が生まれる場となることを期待しております。
 今大会は一層の大会国際化をめざしてトラベルアウォードの充実をはかりました。海外在住の日本人ポスドク及びアジア地域若手研究者から多数の応募があり、厳正審査の結果、34名を受賞候補者とすることを決定致しました。受賞者の所属は、香港3名、インド5名、イラン5名、韓国2名、中国9名、台湾1名、タイ2名、英国1名、米国6名でした。大会国際化のもう一つの軸として大会発表を英語で行う試みも進んでいます。討論は日本語・英語どちらでも可という条件を維持しつつ、一般口演発表スピーチでは英語を推奨しています(詳細は大会プログラムを御覧下さい)。アジア地域若手研究者の大会参加を奨励する学会の方針、日本人若手研究者に英語発表の機会を増やすことの重要性、また一方英語では討論が深まらない可能性 等々、多数の要因を勘案した総合判断が必要です。学会員の皆様のご意見を伺いながら将来へ向けて前向きに検討を重ねたいと思います。
 今大会は男女共同参画社会の実現をめざす一環として、大会会場内に託児室1室および親子休憩室2室を設けました。警備保安上の理由で、託児室の会場内位置情報は利用者にのみ知らせ一般公開しませんが、親子休憩室に関しては、場所等の情報が大会プログラムに記載されています。多数の方のご利用をお願い致します。
 今大会の懇親会(NEUROsocialと名づけました)は、従来と目的を変えて、若手研究者が特別講演・シンポウム講演者をはじめとする先生方と、ドリンクを片手に気軽に話ができる環境を提供することをめざしています。ワインの等級などはグルメ派の方のご要望には添えないかもしれませんが、神経科学研究者間の新しいsocialの試みに多数の方がご参加下さることを願っています。
 日本神経科学大会は、学会員の為に学会員によって運営されるべきだとの基本を堅持したいと思います。大会運営に関するアンケート用紙を大会会場内に置きましたので、ご意見を投函してくださるようお願い致します。学会事務室体制を強化して大会運営の年度間継続性を確保するよう努力していますので、アンケート以外でも、今年の経験を来年以降に生かすために、大会の運営について御意見・御要望等を学会事務局(office@jnss.org)へお寄せ下さい。
 最後になりましたが、本大会の運営をご支援下さいました諸団体、財団、企業の皆様に心より感謝申し上げます。本プログラム末尾に謝辞として、これらの皆様のお名前を挙げさせていただきました。そして、大会運営に御尽力戴きました大会組織委員会、プログラム委員会、執行幹事会、全ての参加者の皆様、この大会がこのような形で実現したのは皆様のおかげです。
ありがとうございました。

ページの先頭